顧問弁護士・法律相談は東京都新橋駅すぐの弁護士事務所、あすなろ法律事務所までお気軽に。
弁護士があらゆる法律問題を解決いたします。

〒105-0003 東京都港区西新橋1丁目20番3号虎ノ門法曹ビル201号

お電話でのお問合せはこちら
03-5251-0003
業務時間
9:30~18:00
定休日
土曜・日曜・祝日

お問合せは24時間お気軽に!

あすなろ法律コラム2018年3月13日

労働契約法改正から5年「無期契約社員」とは?

はじめに

2013年4月1日に改正労働契約法が施行されたことを覚えているでしょうか?

あれから5年が経過する2018年4月1日以降、労働契約法改正の影響で「無期契約社員」と呼ばれる新しいタイプの労働者が登場することになっています。

 

この「無期契約社員」の登場は、中小企業経営者にとっても他人事ではありません。有期契約社員を雇っている会社であれば、必ずどこかで関わることになる法制度であるといえるでしょう。

では、どのような労働者が無期契約社員になり得るのでしょうか。また、無期契約社員はこれまでのタイプの労働者(契約社員や正社員)とはどのように異なるのでしょうか。

労働契約法改正の影響が実際に生じる前に、改めてこうした事柄について確認しておきましょう。

労働契約法改正の内容

まずは、労働契約法の改正の概要についてさらっておきます。

労働契約法の改正内容は大きく分けて以下の3つです。

 

①有期労働契約の無期労働契約への転換

②「雇止めの法理」の明文化

③有期契約労働者と無期契約労働者との間で不合理な取扱いの差異を設けることの禁止

 

それぞれについて簡単に説明していきましょう。

①有期労働契約の無期労働契約への転換

有期労働契約の期間が、通算で5年を超えて更新されて続いている場合には、その契約は無期労働契約に転換することができます(労働者側が事業主側に申込みをすることが必要です。労働契約法18条)。

 

「有期労働契約」とは、たとえばパートや派遣で働く場合の労働契約のことを指します。

正社員以外の雇用形態であれば、ほとんどの労働契約は有期労働契約に該当するといえるでしょう。

 

②「雇止めの法理」の明文化

有期労働契約の更新を事業主が拒否することによって、雇用が終わってしまうことを「雇止め」といいます。

これまでに出されてきた最高裁判所の判決により、ある一定の場合には「雇止め」を禁止する、つまり事業主は労働契約を更新しなければならないというルールが事実上敷かれてきました。

しかし、今回の改正ではそのルールが改めて条文として明文化されたのです(労働契約法19条)。

 

この点についてはこれまでのルールを明文化しただけなので、改正労働法施行によって何か制度が急に変わったというわけではありません。

 

③有期契約労働者と無期契約労働者との間で不合理な取扱いの差異を設けることの禁止

有期労働契約者と無期労働契約者との間に、賃金や労働時間、福利厚生などについて合理的な理由なしに異なる取扱いをすることが禁止されました(労働契約法20条)。

また、合理的な理由なしに異なる取扱いをすることを定めた労働契約の条項は無効とされます。

 

この中でも、2018年以降の無期契約社員の登場に関わっているのは最初の「有期労働契約の無期労働契約への転換」に関する改正です。

 

無期契約社員とは?

なぜ2018年に無期契約社員が登場するのでしょうか。

それは、改正労働契約法18条が適用される有期労働契約というのが、2013年4月1日以降に開始するものに限られているからです。

 

つまり、「2013年4月1日以降に締結された有期労働契約に基づいて通算5年以上働いている労働者」が登場しうるのは、2018年4月1日以降になるのです。

 

「無期契約社員という雇用形態の特徴」

では、新しく登場する「無期契約社員」は、正社員や有期契約社員とはどのように異なっているのでしょうか。

 

まず、有期契約社員との違いは明らかです。

有期契約社員は契約期間が限られている一方で、無期契約社員は文字通り、その契約期間が「無期」とされます。

労働契約の更新が拒絶される「雇止め」の心配をしなくてよいため、その点で労働者側にとって大きなメリットがある雇用形態だと言えるでしょう。

 

では、正社員と無期契約社員とはどのような点で異なるのでしょうか。

これは、それぞれの労働契約の内容にもよりますが、無期契約社員は正社員のような福利厚生や、ボーナス・退職金を受けられることがほとんどないという点が大きく異なっていると言えます。

有期契約社員が申込みによって晴れて無期契約社員になるとき、その労働条件(職務の内容や勤務地、賃金体系、労働時間の長さなど)は、「特段の定め」を置いていない限り、有期契約社員のときの内容が引き継がれます。

この「特段の定め」は、就業規則や労働協約、その他、個別の労働者と事業主との合意によって定めることができます。

しかし、無期契約社員とはいえ、いわゆる契約社員であることには変わりがないため、有期契約社員から無期契約社員へ移行する段階で「特段の定め」等によって正社員と同じ扱いがされるようになることはほとんど無いと考えてよいでしょう。

事業主側としても、無期契約社員と正社員を同等に扱わなければならないといった義務は負っていません。

 

無期契約社員に関する事業主側の注意点

有期契約社員が無期契約社員になりたいと申込みをしてきた場合、事業主はどのように対処すればよいのでしょうか。また、無期労働契約を結ぶ場合にはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。

以下で項目ごとに説明していきます。

 

「無期転換の申込みを禁止することは違法」

事業主の中には、できれば有期契約社員には無期契約社員にならず、そのまま有期契約社員でいてほしいと考えている人もいるでしょう。

そして、そのために無期契約社員になるために申込みをすることを口頭で禁止したり、就業規則等で禁止したりしようとしている事業主もいるかもしれません。

 

しかし、有期契約社員は、無期契約社員になるための申込みをする権利を持っています(この権利を「無期転換申込権」と呼びます。)。

そのため、申込みを禁止することは権利侵害であり、違法行為となりますので、事業主はそのような行為をしないよう気をつけてください。

また、「有期労働契約を更新するための条件として無期転換申込権を放棄させる」など、予め無期転換申込権を放棄する内容の意思表示をさせたとしても、その意思表示は無効とされます。

無期転換申込権は、労働契約法の趣旨から、予め放棄できないとされているのです。

 

「急な雇止めは無効とされる可能性が高い」

無期転換の申込みを禁止できないのであれば、有期労働契約の期間が通算5年以上になる前に解雇するか、契約更新を打ち切ってしまえばいい、とも考えられます。

 

しかし、解雇はそう簡単にできるものではありません。

客観的に合理的な理由がなければ、解雇は無効と判断されてしまうのです(労働契約法16条)。

つまり、雇用はそのまま継続されます。

もちろん、合理的な理由があり、適法に解雇できる場合もあるでしょう。

その場合であっても、労働者に対して少なくとも30日前には解雇を告知することは忘れないでください(労働基準法20条1項)。

 

また、解雇以外の方法として、通算期間が5年になる前に、有期労働契約の期間満了にあたって事業主側が契約更新を拒否するということも考えられます。

 

しかしこれについても、先ほど出て来た「雇止め」の法理によって無効となる場合があります。

 

以下のどちらかに当てはまる場合は、「雇止め」はできないのです。

①それまでに何度も更新が繰り返された有期労働契約で、実質的には無期労働契約の解雇と同じであると言える場合

②労働者側が、契約期間の満了時に「この有期労働契約は更新してもらえるな」と思っていて、その期待に合理的な理由がある場合

もちろん、①②のどちらの場合であっても、雇止めをすることに客観的に合理的な理由が認められるならば雇止めをすることは可能です。

 

このように、無期転換を避けようとして長く働いてきた有期契約社員を解雇・雇止めすることはなかなか難しく、不可能な場合が多いと言ってよいでしょう。

今後、有期契約社員を雇う際には、更新をしない前提で5年以内の期間で雇うか、もしくは、無期契約社員になることを見越しておくことが必要です。

 

「無期に転換する際は逐一書面で確認」

雇っている有期契約社員が無期契約社員への転換を申し込んできた場合は、事業主側は現在の有期労働契約の期間が終わった時点で、その労働者を無期契約社員へと転換させなければなりません。

この申込みは、口頭でも有効であるとされています。

しかし、後から言った言わないの無意味な論争にならないようにするためにも、有期契約社員には予め、無期転換の申込みは書面で提出するように指示しておきましょう。

また、そのためのフォーマットもできれば事業主側で用意しておきたいものです。

無期労働契約転換の申込書・受理通知書の様式例が厚生労働省のホームページにありますので、これを参考にしてフォーマットを作っておくと慌てずにすみます。

 

「無期契約社員になる段階で契約内容を書面で確認」

また、申込みの際だけではなく、実際に労働者が無期契約社員に転換する時にも、転換後の契約内容を書面にして交付し、事業主側でも保存しておきましょう。

 

転換後の労働条件は原則として、直前の有期労働契約の労働条件と同じだとされています。

しかし、「特別な定め」として有期労働契約にはない労働条件、例えば定年などを決めた場合には、後からこれを証明できるように書面に残しておく必要があります。

また、「特別な定め」を置かなかった場合であっても、その事実を後から証明できるよう、今一度その労働条件を書面にして交付し、互いに確認しておいたほうが良いでしょう。

 

「有期契約労働者と無期契約労働者との間で不合理な取扱いの差異を設けることの禁止」

(労働契約法20条)

無期契約社員への転換後に気をつけなければならないのは、同じ会社で働く有期契約社員と無期契約社員との間に不合理な労働条件の差異を設けてはいけない、ということです。

これも最初にご紹介したように、今回の労働契約法の改正で加わった規制です。

 

一般的に、契約期間の限られた有期契約社員はその立場に不安があるため、労働条件の交渉の場で自分の主張を強く出すことが難しいとされています。

そのため、これから登場する無期契約社員との間で不合理な差異が生じかねないと予測されていたので、予めこうした規制が加えられました。

 

具体的には、仕事の内容や、責任の重さ、人事異動の可能性のある範囲などを総合的に考慮した結果、「結局は、有期・無期という違いだけを理由に取扱いに差をつけている」と判断された場合に、その差異は「不合理な差異」ということになります。

どういった点で不合理な差異を設けてはならないかというと、それは全ての労働条件です。

賃金や労働時間だけではなく、社員食堂が使えるかどうか、通勤手当が出るかどうか、などといった条件も含まれます。

 

もちろん、無期契約社員のほうが仕事の内容が難しく、責任も重いといた事情がある場合には、無期契約社員と有期契約社員との間の取扱いに差をつけることは不合理ではありません。

 

「転換する場合に助成金が出る事もある」

有期契約社員を無期契約社員に転換した場合、その事業主は「キャリアアップ助成金」という厚生労働省管轄の助成金の支給対象となります。

その額は、中小企業であれば無期転換した社員一人あたり28万5000円です。

さらに、無期転換した社員が母子家庭の母または父子家庭の父である場合や、無期転換する社員が35歳未満である場合(この場合の助成金支給を受けられるのは、若者雇用促進法の「認定事業主」に限ります。)には、一人あたり47500円が加算されます。

 

また、助成金申請の直近の会計年度におけるその会社の「生産性」(所定の数式によって計算されます。)が向上していると判断されると、助成金額が増額加算されるという仕組みになっているのです。

しかし、せっかくの助成金制度を利用しない手はないので、雇用している有期契約社員が無期契約社員に転換した場合には、忘れずにキャリアアップ助成金を申請するようにしましょう。

ただし、支給を受けるためには上に挙げた以外にも細かな条件を満たす必要があり、また、申請のためには多くの書類を揃えて提出する必要があります。そのため、申請を考えている事業主の方は、企業法務に強い弁護士や管轄の都道府県労働局やハローワークに早めに相談するようにしてください。

 

まとめ

無期労働契約という新しい雇用形態の登場は、事業主側にとってもメリットのある話です。なぜなら、安定した労働力を比較的低コストで確保することのできる可能性を秘めているからです。

しかし、なんといっても新しい制度ですので、初めて無期契約社員を雇うとなると混乱してしまう事業主もいるかもしれません。

そのような場合には、できるだけ早めに企業法務に強い弁護士に相談し、法的問題が生じる前に正しく対処することを心がけましょう。

まずはお気軽にお問合せをご利用ください!

お電話でのお問合せはこちら

03-5251-0003

お問合せ・ご相談は、お電話またはフォームにて受け付けております。

メールでのお問合せは24時間受け付けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

 

「問合せについての確認事項」
  • あすなろ法律事務所のスタッフが対応させていただきます。
  • 必ずフルネームと折り返し連絡可能な電話番号をお願い致します。
  • 相談の際には、まず、相談内容をご確認させていただきます。
  • その後、当事務所の弁護士が対応致します。
  • 借金問題以外のご相談は有料相談とさせていただきます。
  • あすなろ法律事務所の個人情報取扱いに同意していただく必要があります。
    法律相談の内容によっては、相談をお受けできない場合がありますのでご了承ください。

親切、丁寧な対応を心がけております。疑問や悩み事など、なんなりとご相談ください。

業務時間:9:30~18:00
定休日:土曜・日曜・祝日

お問合せはこちら

お問合せはお気軽に

03-5251-0003
0120-211-134

受付時間 24時間・年中無休 

代表者プロフィール

代表弁護士 山枡 幸文

弁護士会登録番号

No:20055

貴方の『お抱え弁護士』として、あすなろ法律事務所をご活用ください。

メディア掲載情報
専門サイト

ご連絡先はこちら

あすなろ法律事務所

お電話でのお問合せはこちら

03-5251-0003
0120-211-134
住所

〒105-0003
東京都港区西新橋1丁目20番3号虎ノ門法曹ビル201号